須崎公園で決起集会
会場の須崎公園には、集合時刻前から、毎朝早くから仕事を求めて築港の寄せ場に立っている仲間たち、そして、「仕事よこせ」の対市役所木曜行動を取り組んできた顔なじみの仲間たちが多く集まりました。「デモにだけは必ず来る」という仲間もいます。野宿生活を続けている者も、仕事がない中、生活保護を受給している者もいます。
正午には50人ほどの労働者が集まり、熱気で会場全体が満たされました。福岡市による生活保護の支給要件の緩和政策などにより、野宿をする仲間は大きく減りました。しかし、失業と貧困の強制に歯を食いしばり、怒りを燃やしてがんばりぬいている仲間がたくさん集まっているのです。「働いて暮らしたい」、「体が動くうちは仕事がしたい」というのが、日雇い・野宿の労働者の圧倒的多数の声であり、「生活保護より仕事がほしい」というのが、日雇い・野宿の労働者の当たり前の要求です。
労働者たちが、カレーライスで腹ごしらえを済ませ、音楽堂ステージ前に着席。予定時刻の12時半になると、集会の開会が宣言され、「日雇いメーデーを闘うぞ」、「俺たちに仕事をよこせ」、「世界の労働者と連帯して闘うぞ」、「失業と戦争を押しつける安倍政府を打倒するぞ」と、全員が元気よくシュプレヒコールを上げました。
熱い連帯のメッセージ
集会の最初に、寄せられたメッセージが代読されました。
東京・山谷日雇労働組合
・東京都が9割近くの補助金を出している「城北労働・福祉センター」は、「仕事をして生きてゆきたい」「センターで仕事紹介を受けたい」と考える労働者が「センター利用者カード」の発行を申請しても、窓口で「ダメだ」と言って追い返すことを続けています。
・2020年東京オリンピック開催に向けて、ドヤが外国からの旅行者向けのホテルに建て替えられる動きが続いており、山谷を「日雇い労働者の街」から新たな金儲けの場所へと再開発することと連動してセンターの日雇い・野宿労働者の仕事紹介からの排除攻撃があることは明らかです。
・われわれは、これまでの建設日雇い労働者だけでなく、新たに山谷に辿り着いた「非正規雇用」で使い捨てにされた労働者も含めて生きてゆける町にするために闘いぬいていく決意です。
反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会
・春闘で俺たちは、釜ヶ崎で唯一業者(資本)に対して「大幅な賃上げ」と「労働条件の改善」を求め、「春闘要求書」をつきつけ闘った。大阪府、大阪市、大阪労働局(国)に対しては、「仕事よこせ!」「[センター縮小・移転]=釜ヶ崎解体攻撃粉砕!」と闘いぬいた。
・寄せ場の主人公は、俺たちだ!俺たちの命と生活をないがしろにすることなど断じて許してはならない。俺たち日雇い・野宿労働者の生きんがための闘いへの敵対を粉砕し、これからも団結して闘っていこう。
・自らうけてきた苦しさ・悔しさ・怒りを爆発させ、路上や病院で殺されていったなかまの無念を晴らすべく闘おう!俺たち労働者が本当にいきいきとして生きていける社会を身体を張って闘い、かちとっていこう。
沖縄・首里日雇労働組合
〇最低賃金…693円(2014年 全国平均798円)
〇完全失業率…5・4%(2015年度 全国平均3・6%)
〇「非正規」率…44・5%(2012年 全国平均38・2%)
〇「ワーキングプア」率…25・9%(2012年 全国平均9・7%)
〇貧困率…34・8%(2012年 全国平均18・3%)
・どの数値をとって見ても、ダントツの「全国ワースト・ワン」の状況にあります。これが、「県」知事・翁長を担ぐ「オール沖縄」運動の背後で進んでいることです。「沖縄の貧困」とは、沖縄の労働者が置かれた低賃金、長時間労働、不安定就労という、過酷な労働条件の問題であり、根本的には基地に占領され、圧迫された経済構造の問題に他なりません。
・貧困問題と基地問題とは一つの問題の裏表であり、両方ともに、米帝への沖縄売り飛ばしと、その後の日帝による統合支配=同化・差別攻撃の結果に他なりません。だからこそ私たちは、「反戦・仕事よこせ」の闘いをいっそう強化し、名護新基地建設阻止の闘いの先頭に起つとともに、「連合」を突破する革命的労働運動の前進を、沖縄の地で大きく切り拓いていかなければならないと考えています。
参加者は、大きな拍手をもって、全国の寄せ場での日雇いメーデーと連帯して闘う決意をうち固めました。
続いて、元原発労働者・原発労働裁判を闘う梅田隆亮氏が登壇し、連帯のあいさつを行ないました。
氏ははじめに、この4月15日、福岡地裁による「労災不支給」の不当な棄却判決に対する怒りを、闘志を込めて静かに語り、さらに控訴審を闘い続けることを宣言。
「本当にみなさんから力づけられたおかげで、4年間裁判してきました。今から先は、原子力発電所で働いた、あの苛酷な作業のことを全国に知らせるということです。今、再稼働に値する作業をやる労働者がどんどん減退しております。だからなかなか再稼働に踏み切れないでやっと、鹿児島の川内原発だけが稼働になりましたが、ほとんど人間が集まりません。私はこれで、裁判には負けたけど、国に対して一矢報いたと、そう考えております。みなさんの力、みなさんのおかげと思うんです。いつ命が絶えるかもわかりませんが、頑張っていきたいと思いますので、どうかよろしくお願いします」
氏の発言に、誰もの大きな拍手が応えた。
福日労が基調提起
福日労委員長から、基調が提起されました。
■「一、福岡日雇いメーデーを闘おう」
「本日は、世界のいたるところでメーデーが闘いぬかれている。俺たちも闘って要求を実現しよう。『反戦』『仕事よこせ』をスローガンに、メーデー集会と天神デモを闘おう」
■「二、木曜行動の地平を拡大し、闘って仕事をかちとろう」
「安倍政府は、どんなに働いても『残業代ゼロ』の働き方を押しつけ、『金さえ払えば首切り自由』の『労働監獄』を作り上げようとしている。労働者への競争と切り捨て、タダ働きの押しつけを強めている。すでに5千万労働者の4割―2千万人を超える労働者に、『非正規雇用』を強いた上で、さらにこれを9割にまでしてしまおうという攻撃だ。先輩たちが血を流してかちとった『八時間労働制』をもなくして、俺たちを資本の奴隷にして、死ぬまでこき使おうというものだ。こんな資本主義を一刻も早く終わりにしなければ、俺たち労働者は生きていけない」
「東京都が山谷で行なっている『特別就労事業』のような、日雇い・野宿の労働者に対する独自の就労対策を要求して、必ず仕事をかちとろう」
■「三、今こそ、反戦の闘いを強めよう」
「安倍極右政府は、昨年9月、『集団的自衛権の行使』を可能とする『安保法制関連法』(=戦争法)の国会における成立を強行し、この3月に施行した。『九条破棄』『国防軍創設』だのをがなりたて、『緊急時』に首相に一切の権限を集中させる『国家緊急権』導入という、ナチスのヒットラーばりのやり口で改憲を狙っている。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に対する挑発と臨戦態勢を強める米帝(アメリカ)とともに、自衛隊を朝鮮半島に送り込もうとしている」
「名護新基地建設阻止、安保粉砕に向け闘おう」
「熊本の大地震が起きても止めようとしない川内原発の稼働を許すな。政府の意向に沿った国家権力の意志そのものである一審棄却判決を許さず、ますます闘いに燃えている元原発労働者・梅田さんの原発労働裁判を支えよう」
■「四、福日労のもとに、団結して闘おう」
「5・24狭山中央闘争に起ち上がろう」
「6・13安保粉砕・政府打倒―福岡集会に全員で参加しよう」
「ニセ『福日労』=ゴロツキ組合をぶっ潰そう。すべての日雇い・野宿の仲間は、福日労のもとに団結して闘おう」
これらの呼びかけが行なわれ、基調は、会場の圧倒的な拍手で確認されました。
続いて、福日労からの決意表明です。
「ますます労働者がこき使われ、使い捨てられる動きが強まっている。『一億総活躍社会』なんぞと言って、おれたちを死ぬまでこき使おうという動きがある。生活保護を受給しているだけで、野宿を強いられているだけで、おれたちを『怠け者』呼ばわりして、原発などで死ぬまでこき使おうという動きだ。冗談じゃない!おれたちは何年も仕事を求めて声をあげているじゃないか!これに応えようとしないのは、政府や県や市などの行政のほうじゃないか!
こんな動きを断固として拒否して、『仕事よこせ』の闘いの前進をかちとろう。こうした労働者を使い捨てる動きの強まりは、戦争への動きと一体のものだ。安倍政府の戦争突撃を許さず、本日のメーデーを、戦争と失業を押しつける資本主義そのものをなくしてしまおうと、世界中で闘いぬいている労働者の仲間たちとともに闘いぬこう。天神のど真ん中におれたちの大きな声を響かせよう。福日労はこの闘いの最先頭で闘う」
この発言に、「ようし」、「いいぞー」という声と圧倒的な拍手が応えました。
福岡市役所へ戦闘的デモ
集会の最後に、福岡市に対する要求書案が読み上げられました。
「仕事がないということは、仲間たちが常に野垂れ死にの淵に立たされているということだ。実際に何人もの仲間たちが野垂れ死にを強いられているではないか。福岡市は、日雇い・野宿の労働者がすべて死んでしまえばいいとでも考えているのであろうか。そうでないと言えるのなら、そのことを証明してみよ」
「福岡市が採っている施策は、ますます多くの失業者を生み出し、野宿せざるをえない労働者を生み出しているだけである。安倍政府が推し進める政策を、『アベノミクス』の『グローバル創業・雇用創出特区』という形で、その最先頭で推し進めているではないか」「『体が動くうちは働いて暮らしたい』という日雇い・野宿の労働者の願いを無視し続けることは、もはや許されない。生活保護一辺倒の施策では何の解決にもならない」
「福岡市はただちに、国や県に協力・連携を働きかけ、日雇い・野宿の労働者のための公的就労対策事業に着手すべきである」
第一に、「東京都が山谷で行なっている『特別就労事業』のような、公的就労対策事業を行なうこと」
第二に、「その際、日雇い・野宿の労働者の生活実態に合わせて、①築港を集合場所とすること、②輪番制の実施、③賃金の日払い、④作業現場への送り迎え、⑤日雇い雇用保険の適用と被保険者手帳の作成を行うこと」
第三に、「以上の内容について、早急にわれわれとの話し合いの場を設けること」
を求めるという内容で、要求書は、全体の圧倒的な拍手で確認されました。
そして司会の仲間から「今日は日曜日で市役所が休みなので、今度の木曜行動の時にみんなで突きつけよう」と提起されました。
シュプレヒコールで集会をしめくくり、いよいよデモに出発です。デモ隊が天神の街にくり出すと、道行く人々が注目し、「福岡市は日雇い・野宿の労働者に仕事を出せ」の大横断幕は沿道の人々の目を引く。デモ隊は市役所前で立ち止まり、思う存分シュプレヒコールを叩きつけました。
天神中央公園に移動した部隊は、全体で闘いの貫徹を確認し、「団結ガンバロー」を行なってデモを終えました。福日労は、メーデーでうち固めた団結をもって、さらなる反戦・反失業の闘いにうって出ていく決意です。